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6畳の図書室

『新中学校理科重点指導事項の実践開発』

『新中学校理科重点指導事項の実践開発』(清水誠・熊野善介編著,明治図書出版株式会社)
新学習指導要領下での授業をイメージしたく購入。
各単元について,「なぜ重点指導事項か」「どのように改善するか」「授業研究を深めるために」が授業案とともにまとめられているのが参考になる。

以下,内容についてのメモ(要約ではなく,気になった部分のみ)。
○力の働き
・グラムも重さの単位として使った後で,グラムとニュートンの使い分けをしても,教師が思うほど生徒は混乱しない。
・生徒は誤差というと人の問題だと考えるが,測定器具自体がもつ誤差も説明すべき。
・ばね以外の材料で弾性を調べる。
○圧力
・圧力については,気体より液体から入るほうがイメージしやすい。
・水圧が物体に対しあらゆる向きから働く,というのがどういうことか,理解しにくい。この本にあるような図が大事。
・浮力を圧力差から定量的に求めるのは難しい。実験結果から結論づける。
#力のつりあいをやっていれば,物体を水に置き換えてそこに働く重力とのつりあいで考えられるが。
・沈む物体には浮力が働かないという誤解がある。
○身の回りの物質とその性質
・プラスチックの特徴について,普及以前に使われていた素材と比較しながら理解する。
・プラスチックを比重(浮き沈み)で分類する際,水以外に食塩水も使える。
○状態変化と粒子
・状態変化をモデル化したときの生徒の考え。
○溶解と粒子
・粒子モデルは,状態変化・水溶液,どちらからでも入れるが,いきなり溶質と溶媒両方の粒子を考えるのは大変なので,状態変化から入るほうがやりやすい。
・米とあずきのモデル
#一般化できないという指摘もあるが。
○静電気と電流
・ネオン管の発光で静電気と電流の関連に気づかせる。
○電磁誘導と直流・交流
・直流・交流は,ACアダプターの表示など,身近な利用例と関連させる。
○原子・分子
・肉眼→ルーペ→顕微鏡→電子顕微鏡の写真
○力のつり合い
・平行四辺形の作図は練習が必要。
○水溶液の電気伝導性,原子の成り立ちとイオン
・水溶液の濃度が扱われるようになったので,「うすい塩酸」ではなく,濃度を表示する。
○地層の重なりと過去の様子
・化石の話,進化の話との関連。
○生物と細胞
・細胞→組織→器官の理解が,内呼吸の学習につながる。
・生肉で動物細胞の観察。
○生物の変遷と進化
・不変が基本の遺伝と変化が基本の進化,遺伝を先に学習していたら,混乱するところ。
・進化の傾向,水中から陸上へ,大型化,活発化。
○無脊椎動物の仲間
・種の数で比較すると,脊椎動物よりも無脊椎動物の方がずっと多い。
・軟体動物は水中生活が多い。
・節足動物(軟体動物に比べれば)は陸上生活に適している。
○大気の動きと海洋の影響
・日本が大陸の東岸にあり,東には太平洋がある,というように地球規模で理解。
・発展としてエルニーニョ現象の影響について。
○細胞分裂と生物の成長
・体細胞分裂では分裂後も染色体数が一定,というのが大事。
・成長は,分裂+分裂した細胞の伸長。
○遺伝の規則性と遺伝子
・有性生殖と無性生殖,親子の形質の違い。
・遺伝情報は変わることもある,ということも扱い,進化の話と矛盾しないように。
○自然の恵みと災害
・森林の働き,「緑のダム」。
○自然環境の保全と科学技術の利用,持続可能な社会の構築
・トレードオフの考え方。
by h-asa78 | 2010-05-02 23:06 |
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読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。

by h-asa78