6畳の図書室

『「理科」で何を教えるか』

『「理科」で何を教えるか』(日置光久・村山哲哉著;東洋館出版社)
教科調査官の本なので,今後の理科教育の方向性を知るのに良いと思い,購入。
章ごとに振り返る。

第1章自然と科学
日本的な自然(じねん)とnatureの訳語としての自然(しぜん)は違うという話。
したがって日本の理科教育でも,和魂の部分も取り入れようという主張。
#正確には,「和洋魂洋才」という表現であり,洋魂を否定しているわけではない。
具体的な話が書かれていないので,なんとも言いにくいが,敢えて主張するほどのことなのかは疑問。

第2章言葉の重視と体験の充実
日本は高文脈,欧米は低文脈の社会であり,日本語は省略が多い。これは,文化が共有されている日本と,多文化多民族で構成される欧米との違いと考えられる。理科では欧米のような言葉づかいが必要。
言葉を使うレベルを記述,説明,創造の3つに分け,記述と説明が充実することが創造を支えるという主張には共感できる。

第3章探究と習得
章の見出しは「探究」と「習得」だが,習得した知識の「活用」が大きな意味を持ってくるとも主張。最近読んだ中教審メンバーが書いた本でも,「活用」に重きを置いていた。
指導要領改訂案についての周囲の議論では,「活用」はあまり話題になっていないのだが,本当はこれが改訂案の大きなポイントなのかもしれない。

第4章理科の新しい内容区分
「生物とその環境」「物質とエネルギー」「地球と環境」という3区分に対し,新たな区分の仕方として「状況をつくる学び」(条件設定をして実験を行うなど)と「状況に入る学び」(地層の観察など)を提案しているのだが・・・この提案にどれほどの意味があるのか,理解できない。少なくとも表面的に見れば,これまでもあった第1分野と第2分野の区分に過ぎず,改めて提案するほどのことではない。
「実際の単元には両方の学びが入ってくる」というから,単純な第1分野第2分野の区分ではないようだが,それならなおのこと提案の意味がわからなくなってくる。

第5章新しい理科の考え方
PISAで問われた能力の背景には,キー・コンピテンシーという概念があるという。
「日本の順位が」という議論では,このようなつっこんだ話が出てこないので,初めて知った。
主張は,カリキュラムを考える際に,キー・コンピテンシーから示唆が得られるのではないかという話。

第6章未来型の環境教育
環境教育の歴史や自然体験プログラムの紹介など比較的オーソドックスな解説という印象。
(環境教育についてよく知っているわけではないので,あくまでも印象だが。)
面白かったのが,環境教育では,通常の理科の授業のようには,習得する内容が決まっていないという話。
習得する内容が決まっている場合,子どもが自分で考えて導いた結論が教師に読まれている(もしくは補正されてしまう)。しかし,環境教育では子どもが感じたこと,考えたことがすべて認められる,と。
「環境教育というのは実は子どもたちが一番生き生きする教育だろう」というのは,一理あると思う。
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by h-asa78 | 2008-03-15 22:41 |
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読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。
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