6畳の図書室

カテゴリ:本( 335 )

『ペンギン・ハイウェイ』

『ペンギン・ハイウェイ』(森見登美彦著;角川書店)
長編ファンタジー,いやファンタジーというよりもSFか。
著者のこれまでの作品と違い,京都が舞台でも腐れ大学生が主人公でもない。
郊外の街の少年が主人公。そのため,子どもが主役の小説独特の空気もあり,一方でやはり森見作品と思わせる言葉もあり。
主人公憧れのそして謎の中心にいる「お姉さん」,主人公に適切なアドバイスをする「父」,へんてこな登場人物が走り回る森見作品では,こういうまともで登場人物が新鮮で魅力的に感じられる。

悪くはないのだが,これまでの森見作品を読んできた者にとっては,やはり京都か腐れ大学生の作品を読みたい。
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by h-asa78 | 2010-09-21 23:39 |

『里山の自然をまもる』

『里山の自然をまもる』(石井実・植田邦彦・重松敏則著;築地書館)
『地球環境を映す鏡 南極の科学』と同様,仕事のネタ本として。
里山の様子,生態学,維持管理の実例。里山ってこういうところ,というのをつかむのに手頃な内容(だと思う。ほかに読んでいないので比較対象はないが)。理科的に言えば,遷移の途中段階を人為的に維持しているのが里山という理解になるだろうか。
天然記念物に指定された結果,生息に関する調査や生息環境を維持するための活動もしにくくなり,結果として天然記念物が絶滅していく,という話は,なんとも皮肉なことである。
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by h-asa78 | 2010-09-21 00:53 |

『メンデル 遺伝の秘密を探して』

『メンデル 遺伝の秘密を探して』(エドワード・イーデルソン著・西田美緒子訳;大月書店)
仕事でメンデルについてちょっとした文章を書くことがあり。
ちょっとした文章のために1冊読むというのも効率の良くないやり方だが,知らない分野については敢えてそうすることが多い。

遺伝の法則で有名なメンデルだが,遺伝の法則が評価されたのは死後の話。では,生きている間はどうだったのか。
修道院では院長にまでなっていたらしい。
もちろん,学問への情熱も強く,研究分野は気象学やミツバチ(養蜂),花の品種改良など広い分野にわたる。
また,教壇にも立ち,同僚からも生徒からも慕われる人物だったようだ。
「遺伝の法則の発見者」としての今の評価ほどではないが,当時も地元では十分に評価され,幸せな一生だったのではないか。そう思うと少しほっとする。
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by h-asa78 | 2010-09-20 23:40 |

『地球環境を映す鏡 南極の科学』

『地球環境を映す鏡 南極の科学』(神沼克伊著;講談社)
仕事のネタ本。結局ボツになったが。
南極研究の第一人者による南極解説本。著者の専門分野である地学的な話が中心ではあるが,南極観測の歴史や南極の生き物,南極での生活についても1つの章ができている。
南極を知るには非常に良い本。

南極の氷の下には湖があるらしい。そこには未知の生物,生態系が存在するかもしれない。
地球にもまだ未知の世界が残っている。
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by h-asa78 | 2010-09-20 23:29 |

『電子書籍の衝撃』

『電子書籍の衝撃』(佐々木俊尚著;ディスカヴァー・トゥエンティワン)
先日,同業他社の人と話す機会があった。
電子書籍の話について,我々としては脅威であるという話になった。
しかし,脅威でもなんでも,キンドルやiPadは広がっていくであろう。早い遅いはあれ,流れが逆行することはないだろうし,それならその流れにどう乗るかを考えなければならないと思い,購入。

著者の主張は,読者との双方向性により読者の文脈に合った書籍ができ,それが購入されるようになるとのことだが・・・この予測が当たったとして,それは本当に読者にとって幸せなのだろうか。。。
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by h-asa78 | 2010-05-30 21:18 |

『天地明察』

『天地明察』(冲方丁著;角川書店)
日本初・独自の暦をつくった渋川春海の話。
主人公はもちろん,出てくる人物ひとりひとりが魅力的に描かれている。
時代小説だがチャンバラが出てくるわけではない。算額や測量,星図,そして暦など,地味な話題が多いのだが,エンターテインメントとしてできあがっている。さすが本屋大賞受賞作。
関孝和との関係など,どこまでが事実なのかわからないが,小説なのでそこは面白ければ良いのだろう。
#amazonでの感想でも,この時代に地動説が浸透していたという記述に批判があった。
#著者は,地球の自転を地動説と混同したのだろうか。
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by h-asa78 | 2010-05-30 11:46 |

『基礎学力を保障するノート指導 理科編』

『基礎学力を保障するノート指導 理科編』(甲本卓司監修・法則化サークルMAK-Science著,明治図書)
以前,地元の研究会で,ノート指導についての議論を行った。そのときの話と重複する部分もあったが・・・全体に内容がうすい。。。
結局,さまざまな実践事例が掲載されているものの,ノート指導に関する部分についてはどれも共通なので,「同じ話の繰り返し」という印象が残ってしまう。それが「法則」ということなのかもしれないが・・・。
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by h-asa78 | 2010-05-30 11:30 |

『植物が地球をかえた!』

『植物が地球をかえた!』(葛西奈津子著・日本植物生理学会監修・日本光合成研究会協力;化学同人)
植物まるかじり叢書というシリーズ。
植物の研究者を取材し,植物研究の最前線を紹介する,というシリーズのようだ。日本植物生理学会による植物学の宣伝といった感じの企画。
といっても,書いているのはプロのサイエンスライター。研究者自身の紹介をしたり,研究者のことばを引用するような書き方など,新聞や雑誌のような書き方が読みやすくわかりやすい。高校生物の内容より高度な内容もあるが,そう感じさせずに「わかった気」にさせる。
内容は,進化,藻類,品種改良,地球環境のシミュレーションなど広い分野が扱われている。このシリーズはほかの巻も面白そうだ。

気になるのが・・・「セイタカアワダチソウにはアレロパシーを起こさないことが確認され」という記述。ほかの植物の生育を阻害する物質をもっていても,自然界でそれを発揮しているわけではないということのようだが・・・恐らく,日本の生物学の教科書では今も,アレロパシーといえばセイタカアワダチソウであろう。
実際,日本植物生理学会の「みんなのひろば」にも,「セイタカアワダチソウやニセアカシアなどの外来植物が強いアレロパシーをもっていて」という記述がある。
http://www.jspp.org/cgi-bin/17hiroba/question_search.cgi?stage=temp_search_ques_detail&an_id=1238&category=keyword&b_id=&keyword=%83Z%83C%83^%83J%83A%83%8F%83_%83`%83\%83E
うーん・・・。
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by h-asa78 | 2010-05-04 01:39 |

『新中学校理科重点指導事項の実践開発』

『新中学校理科重点指導事項の実践開発』(清水誠・熊野善介編著,明治図書出版株式会社)
新学習指導要領下での授業をイメージしたく購入。
各単元について,「なぜ重点指導事項か」「どのように改善するか」「授業研究を深めるために」が授業案とともにまとめられているのが参考になる。

以下,内容についてのメモ(要約ではなく,気になった部分のみ)。
○力の働き
・グラムも重さの単位として使った後で,グラムとニュートンの使い分けをしても,教師が思うほど生徒は混乱しない。
・生徒は誤差というと人の問題だと考えるが,測定器具自体がもつ誤差も説明すべき。
・ばね以外の材料で弾性を調べる。
○圧力
・圧力については,気体より液体から入るほうがイメージしやすい。
・水圧が物体に対しあらゆる向きから働く,というのがどういうことか,理解しにくい。この本にあるような図が大事。
・浮力を圧力差から定量的に求めるのは難しい。実験結果から結論づける。
#力のつりあいをやっていれば,物体を水に置き換えてそこに働く重力とのつりあいで考えられるが。
・沈む物体には浮力が働かないという誤解がある。
○身の回りの物質とその性質
・プラスチックの特徴について,普及以前に使われていた素材と比較しながら理解する。
・プラスチックを比重(浮き沈み)で分類する際,水以外に食塩水も使える。
○状態変化と粒子
・状態変化をモデル化したときの生徒の考え。
○溶解と粒子
・粒子モデルは,状態変化・水溶液,どちらからでも入れるが,いきなり溶質と溶媒両方の粒子を考えるのは大変なので,状態変化から入るほうがやりやすい。
・米とあずきのモデル
#一般化できないという指摘もあるが。
○静電気と電流
・ネオン管の発光で静電気と電流の関連に気づかせる。
○電磁誘導と直流・交流
・直流・交流は,ACアダプターの表示など,身近な利用例と関連させる。
○原子・分子
・肉眼→ルーペ→顕微鏡→電子顕微鏡の写真
○力のつり合い
・平行四辺形の作図は練習が必要。
○水溶液の電気伝導性,原子の成り立ちとイオン
・水溶液の濃度が扱われるようになったので,「うすい塩酸」ではなく,濃度を表示する。
○地層の重なりと過去の様子
・化石の話,進化の話との関連。
○生物と細胞
・細胞→組織→器官の理解が,内呼吸の学習につながる。
・生肉で動物細胞の観察。
○生物の変遷と進化
・不変が基本の遺伝と変化が基本の進化,遺伝を先に学習していたら,混乱するところ。
・進化の傾向,水中から陸上へ,大型化,活発化。
○無脊椎動物の仲間
・種の数で比較すると,脊椎動物よりも無脊椎動物の方がずっと多い。
・軟体動物は水中生活が多い。
・節足動物(軟体動物に比べれば)は陸上生活に適している。
○大気の動きと海洋の影響
・日本が大陸の東岸にあり,東には太平洋がある,というように地球規模で理解。
・発展としてエルニーニョ現象の影響について。
○細胞分裂と生物の成長
・体細胞分裂では分裂後も染色体数が一定,というのが大事。
・成長は,分裂+分裂した細胞の伸長。
○遺伝の規則性と遺伝子
・有性生殖と無性生殖,親子の形質の違い。
・遺伝情報は変わることもある,ということも扱い,進化の話と矛盾しないように。
○自然の恵みと災害
・森林の働き,「緑のダム」。
○自然環境の保全と科学技術の利用,持続可能な社会の構築
・トレードオフの考え方。
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by h-asa78 | 2010-05-02 23:06 |

『みんなが知りたい 地下の秘密』

『みんなが知りたい 地下の秘密』(地下空間普及研究会;ソフトバンククリエイティブ株式会社)
以前,書店で『JAPAN UNDERGROUND』という写真集を見かけた。
日本の地下にあるさまざまな施設を撮影したもので,購入はしなかったが,強く印象に残っている。
それ以来,「地下」が気になっている。

本書は,地下の利用についての本である。都市計画など工学系の人には馴染みがあるのかもしれないが,あまり見かけないテーマ。
カッパドキアやロンドンの地下鉄,日本の氷室などの歴史的な話題,掘削技術について,そして核シェルターやスーパーカミオカンデ,二酸化炭素の地下貯留の話まで。お寺の地下に変電所,レマン湖の地下に駐車場,意外な組み合わせ。
生活しやすい地上は人のために,地下でも良い施設は地下に。地下を利用することで,地上を有効活用することができる。地下に施設を建設することはコストのかかることではあるが,得られるものも大きい。
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by h-asa78 | 2010-04-18 23:27 |



読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。
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