6畳の図書室

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『高校で教わりたかった化学』

『高校で教わりたかった化学』(渡辺正・北條博彦著;日本評論社)
著者はあちこちで,中高の化学の内容に厳しいコメントをしている。
内容は間違いではないのだろうが,単位の表記へのこだわりなど,なんともうるさい人だなあという,あまり良くない印象であった。
そんな人がどんな本を書くのだろうと,少々意地の悪い目で読み始めた。

しかし,残念ながら(?),非常によく書けていると思った。
現象の整理だけで終わりがちな高校化学の内容を,電子の振る舞いやエントロピーなどをもちいて,なぜそのような反応が起こるのか,といったところまで踏み込んで説明してある。
説明の仕方も,定量的な議論や比喩も取り入れ,工夫されている。
自分があいまいな理解で済ませていたところも,しっかり説明されていて,勉強になった。

高校化学の内容をこの本で一から学ぶのは難しいと思うが,高校化学をひと通り学んだ人の学び直しには良さそうな本。

終章の高校化学の教科書批判は,この本全体から見ると,少々唐突。
日本と海外の教科書の厚さを比較したり,化学オリンピックを基準に,日本の高校化学を批判するのは,時々見る議論だが,あまり意味がない。
国際比較なら,教科書ではなく実際の授業,生徒の習得状況の実態を調べるべきだろう。教科書=授業ではないのだから。
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by h-asa78 | 2008-09-28 21:58 |

『天気の100不思議』

『天気の100不思議』(村松照男著;東京書籍)
タイトルの通り,天気に関して見開き1テーマで100テーマ。
知っている話も多いが,歴史との関わりなどで意外な話もあった。
火災旋風という言葉を初めて知った。火災の熱によって起こった上昇気流による竜巻。関東大震災の死者の約3割は,地震後の避難先を襲った火災旋風によるものだという。
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by h-asa78 | 2008-09-21 19:55 |

『先端テクノロジーのしくみがよくわかる本』

『先端テクノロジーのしくみがよくわかる本』(瀧澤美奈子著;技術評論社)
先端テクノロジーというのがどうも苦手だ。
先端科学であれば「こんなことまでわかっているのか」と興味をもてるが,テクノロジーとなるとキリがないような気がして,積極的に知ろうという気になれない。興味をもっても,純粋な好奇心というよりも,仕事のネタになるかどうかという視点で考えてしまう。
しかし,その仕事のネタになるかどうかという点で言えば,この本は期待通りであった。

中学・高校の理科で出てくる理論が,先端テクノロジーでどのように活用されているか,という視点で整理されている。実際のところ,先端テクノロジーの先端らしい部分は,かなりごまかされており,あくまでも中学・高校の理科で説明できるところだけを抜き出して説明しているだけのような気もするが,全体に読みやすくまとめてあるので,気にせずさらっと読めてしまう。
その意味で,先端テクノロジーをしっかりと理解したい人には不向きな一冊かもしれない。

しかし・・・自分がいかに先端テクノロジーに疎いか,再確認した。
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by h-asa78 | 2008-09-16 00:41 |

『死刑』

『死刑』(森達也著;朝日出版社)
この本によると,日本人の約8割が死刑制度に賛成らしい。以前はそれほどでもなかったが,オウム真理教の事件以降,増えたらしい。
ただ一方で,重要な事実。賛成にせよ反対にせよ,多くの人は死刑制度から目を逸らしている。その事実を支えるのは,死刑制度が「不可視の領域」に置かれ,多くの人がその実態を知らない(知らされていない)という現状。
そこで,筆者は死刑制度を直視することを試みる。

筆者は,死刑に関わる人たち,死刑囚,刑務官,教誨師,廃止派,存置派,被害者遺族,・・・さまざまな人へのインタビューを重ねていく。そして,筆者自身迷いつづけながら,死刑というものの本質を考えていく。

死刑制度の是非を,データを踏まえ,論理的に考えれば,死刑制度を残す積極的な理由は,恐らく,ない。
犯人の死刑を望む被害者遺族の気持ち,それを制度に反映させるかどうかも自明ではない。
しかし,それは自分が被害者遺族ではないから言えること。いやしかし,それでは死刑囚の家族の気持ちは無視できるのか。
考えても結論は出ない。そして恐らく,考えて結論を出すものでも,ない。

インタビュー全体から受ける印象。死刑制度の近くにいる人ほど,死刑制度について迷いがある。肯定と思われる人が否定的なコメントをしたり,否定と思われる立場の人が肯定的なコメントをしたり。しかし,それらは単純な肯定否定ではない。死(被害者・加害者双方についての死)が極めて私的なものである以上,個別の事例について思うことはあっても,制度としてどうかとなると,簡単ではないのだろう。

書けば書くほど,自分の言葉が軽くなる。
ただ,何も書かずに黙って本棚にしまえる本ではなかった。

最後に,表紙にあった言葉を書いて,自分の思考停止をごまかす。
「人は人を殺せる。でも人は,人を救いたいとも思う。」
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by h-asa78 | 2008-09-15 00:52 |

『科学で見る世界史』

『科学で見る世界史』(GAKKEN)
科学史とあまり勉強していない世界史の両方が学べるかと思い購入。
科学・技術・物質,病気,環境破壊が社会に与えてきた影響という観点で,世界史を見ていく。
以下,仕事のネタになりそうなものをいくつか。
・紙の発明が中国の官僚制や科挙制度に貢献。
・鉄道車両のバンパーやゴムタイヤのためにゴムの需要が増えた。アフリカの植民地化の目的の1つはゴムノキ。
・日露戦争の日本勝利の背景には,手旗信号のロシアに対して,日本は無線を利用していたということがある。
・アステカ帝国,インカ帝国が滅びたのは,スペイン人の侵略そのものだけでなく,スペイン人がもたらした天然痘の影響もあった。
・スペインインフルエンザにより第一次世界大戦の戦況がかわった。
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by h-asa78 | 2008-09-14 00:37 |

『教育社会の設計』

『教育社会の設計』(矢野眞和著;東京大学出版会)
教育を考える上で必要な,さまざまな視点が提示されている本。
さまざまなデータをもとに論理的に語っていながらも,決して冷たくない議論に好感が持てる。

美しい理念や「思い込み」にとらわれず,学問的な研究成果を踏まえているところ。
社会全体から学校・家庭・企業の中まで,具体的なイメージとともに語られているところ。
そして新書のように読みやすい文章。
高木仁三郎の市民科学のように,市民のための教育学というのがないかと考えたことがあるが,この本は自分のイメージする市民のための教育学に近い。

個別の内容は,自分にとって新鮮なものが多く,何度か読み直さないと消化しきれないが,特に印象に残っていることをいくつか(勝手な要約)。
・日本では,教育学と経済学は分断されてきた。高度経済成長のおかげで,学校を卒業した者の能力不足を問われる機会が少なく,教育が経済学の研究対象になりにくかった。
・教育には投資という面がたしかにある。
・最近は教育に市場主義を持ち込むという形で,教育と経済学が結びつき始めた。ただし,大学はすでに市場化されている。そしてかつて「私学問題」が発生した。これが市場化の失敗。その失敗は補助金という形で解決。この解決策は,国の教育への投資という点で合理的な判断だったと思われる。
・学校教育については「べき」論が多い。しかし,「できる」ことを考えた方が良い。
・学校で学ぶことは,学校を出てから役に立たないと言われるが,本当にそうか?仕事をしていると新たに学ぶ必要がある。その基礎知識は高校の教科書にある。
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by h-asa78 | 2008-09-07 22:16 |

『百万人の天気教室』

『百万人の天気教室』(白木正規著;成山堂書店)
ある本で『一般気象学』とともに頻繁に引用されていた。名著かと思い購入。
気象学の入門的な話から,天気予報まで。若干,全体に古い印象がないでもないが・・・ほかの本では,省略されているようなところも,丁寧に説明されていて良い本。
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by h-asa78 | 2008-09-07 00:18 |



読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。
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