6畳の図書室

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『学力と階層』

『学力と階層』(苅谷剛彦著;朝日新聞出版)
著者がさまざまなところで書いた文を集めたもの。とはいえ,1冊の本としてうまくまとまっている。
書かれている分析は,納得できるものが多い。

たとえば,教育基本法の変更がずいぶんとあっさりと決まってしまったことが不思議だった。
これは,教育基本法に国の責任を示すことで,さまざまな改革の中でも教育にかける予算が削減されにくくなるという文科省の判断があったと考えられるという。肉を斬らせて骨を断つような発想か。

履修と修得の違い。日本では学習内容を修得しているかどうかよりも,履修しているかどうかが問題視される。
ほとんど全員が高校へ進学する今,修得を目標とするのは大変だからとのこと。

著者は,事実関係の研究が中心で,あまりこうすべきという主張はしないというイメージがあったが,本書では著者自身の主張も比較的多く含まれる。その辺りの話も少し。
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by h-asa78 | 2009-10-31 01:05 |

学習指導要領

最近,新学習指導要領に関連した会合に2つ参加した。
どちらも学会関連。

気になるのが,どちらの集まりでも学習指導要領ありき。
新学習指導要領のここが問題,次回はこうしてほしい,と。私の嫌いな,外国の教科書との厚さ比較も出た。
もちろん,もともとがそういうテーマで企画された会なので,そこを批判しても仕方ないのかもしれないが・・・。
学会なら,「そもそも指導要領って要るの?」ぐらいの問い直しから始めても良いし,「指導要領はさておき,実際の学校現場はどうするべき?」という展開があっても良いはず。
学問が自由であれば,この程度の発想は当然だと思うのだが・・・むしろこういう話は草の根的な活動をしている研究会の方から聞こえてくる。

大学の先生全般に感じるのが,指導要領という作文や教科書の厚さといったどこまで実態を反映できているのか明らかでないものにもとづく議論が多すぎる。しかも,肝心な生徒にとってどういう意味をもつか,という視点からの話があまりにも少ない。それ以外やりようがないので仕方がないのだが,せめて無意味さに気づいてもう少し丁寧な論理を組み立ててほしいと思う。
その点では,現場出身ながらも「理想を語るのも私の仕事」と言い切る教科調査官の方が,はるかに上手に思える。

現場の良心をいかに支えていけるか。
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by h-asa78 | 2009-10-26 00:42 | その他

『若き友人たちへ 筑紫哲也ラスト・メッセージ』

『若き友人たちへ 筑紫哲也ラスト・メッセージ』(筑紫哲也著;集英社)
過去に書かれた原稿と大学での講義録。
仕事で遅くなっても,23時より帰宅が遅れることはまずないので,『ニュース23』を見ることが多かった。
久米宏や田原総一郎のように,テレビ受けするような威勢の良いコメントではなく,落ち着いた感じでコメントするのが安心できた。
内容は,多岐にわたるが,印象に残ったのが,愛国心と国家主義の話(正確には平野啓一郎による指摘)。たしかに,この違いがあいまいなまま,「国を愛する」「公共」という言葉が独り歩きしている昨今。
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by h-asa78 | 2009-10-25 22:33 |

『理科教育法』

『理科教育法』(山田卓三・秋吉博之編著;大学教育出版)
恐らく,大学の理科教育法のテキスト。
山田卓三著ということで,原体験の話が多いかと思ったが,複数の執筆者のいる本のため,わりと標準的?な教科書であった。
現場にいない人間としては,具体的な授業の組み立てに関心があるのだが,「理科学習指導の実際」にある授業例は,正直「本当にこんなうまくいく?子どもが賢すぎないか?」と思われるものが多く。
また,「『湯気』のことを水蒸気といいます」というのがあったのも少し気になる(これは小学生対象の授業を想定して意図的に簡略化しているようだが・・・)。
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by h-asa78 | 2009-10-25 00:59 |

『これならわかるネットワーク』

『これならわかるネットワーク』(長橋賢吾著;講談社)
苦手なコンピュータの話。少しはわかった気になりたいと思い購入。
どうしてそのようなしくみなのか,そこに至る経緯とともに書かれているので,少し読みやすい。
とはいえ,やはり苦手な分野のため,今ひとつわかった気になりきれず。
自分の目的意識がややあいまいで,「特にここを理解したい」というのがなかったのが問題。
#同じ本を繰り返し読むか,同分野のほかの本も読んでみないとダメか。
本は悪くない。
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by h-asa78 | 2009-10-25 00:48 |

『「狂い」のすすめ』

『「狂い」のすすめ』(ひろさちや著;集英社)
集英社新書の別の本を買おうと思ったら,この本の帯「人生に意味なんてありません。「生きがい」なんてペテンです。(本文より)」が目に飛び込んだ。自分に近いものを感じ,思わず購入。
タイトルの「狂い」の話は第1章の話。おおまかには,「世間」の方が狂っているのであって,それに対して自分が狂っているのだと思えば,「世間」から自分は自由になれるという話。バックグラウンドには一休宗純のさまざまな逸話がある。
宗教的なバックグラウンドのある話で,普通の感覚から言えば非常識な結論も多いので,ヘタな要約はしない方が良いと思うので,要約代わりに各章の見出しのみ。
I「狂い」のすすめ
II人生は無意味
III人間は孤独
IV「遊び」のすすめ

極端な話も多く,実際にこの本にあるような考え方をすべて実践するのは難しいが,なにか悩みにぶつかったときに思い出すと,気が楽になりそう。

人生は無意味,意味はないけどついでに生きているという著者(そう考えると楽)。ただ,一方で思う。ついでで生きられるのは,それだけ豊かなのだろうと。生きることに意味を見出さなければ生きられない人もいるのではないか。
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by h-asa78 | 2009-10-25 00:15 |

『差別と日本人』

『差別と日本人』(野中広務・辛淑玉著;角川書店)
被差別部落出身の野中広務と在日朝鮮人の辛淑玉との対談。
辛が野中にインタビューしながら,地の文で補足の解説や感想を付け足していくという構成。
日本で過去にあった差別に関する歴史についての勉強にもなる。
#若干,一面的なとらえ方のように感じる部分もあるが。
野中広務という人をよく知らなかったが,ずいぶんと面白い。
多少の毒を飲みながら,弱者を守るという信念を貫くという姿勢。ダーティなハトという評価に納得。
北朝鮮との交渉で,「あなたは絶対に友好的な人でないから,これから何回も来なさい」というエピソードも,芯のある人間性によるものか。
読むと面白いのが・・・自民党の政治家にずいぶんと手厳しい(逆に,公明党や社会党の政治家への評価が高い)。いわゆる「エセ同和」とやりあったのも,共通するのかもしれない。

差別は享楽。だから差別は維持される。おもに「ふつうの人」によって。そして,その構造は政治利用される。
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by h-asa78 | 2009-10-12 21:29 |

『ヒューマニティーズ教育学』

『ヒューマニティーズ教育学』(広田照幸著;岩波書店)
シンプルなタイトルなので,教育学の教科書と思ったが違った。
そもそも教育学とはどういうものか,どうあるべきかを問うた本。
といっても,肩に力の入った書き方ではなく,著者が教育(学)の歴史を振り返りながら感じたことを語るような書き方で読みやすい。これから教育学を学ぶ学生が一番の読者対象か。
話題としては・・・
●教育の歴史から教育学が誕生するまで。教育の定義の難しさ。
●実践的教育学と教育科学,それぞれの長所・短所。
実践的教育学は「こうすべき」という規範に踏み込み,根拠の曖昧さもある。
教育科学ではそれなりに確かな根拠にもとづいた厳密な議論がなされているが,その厳密さには限界がある上に,実際の教育にアプローチするには教育科学では導き出せない「規範」が必要になる。
●教育の「悲劇性」
教育が他者に対して行うものであるため,その結果には不確実性を伴う。
●教育学者の沈黙
価値観の相対化が進んだため,教育学者が教育の目的について発言しにくくなった。代わりに,政治的・経済的な観点から語られる教育の目的についての主張が,強い影響力をもつようになった。
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by h-asa78 | 2009-10-10 21:56 |

『極限生物摩訶ふしぎ図鑑』

『極限生物摩訶ふしぎ図鑑』(北村雄一著;保育社)
乾燥・高温・極寒・高山に生息する生き物の図鑑。
このような極限状況では,生命にとって本当に大事な部分が明確になる。

環境の良いわずかな期間に一気に,食料を集め,成長し,生殖する生物。
水分の蒸発を防ぐために,雨が降らなくなるとすぐに葉を落とす植物。
細胞間を凍らせて,細胞自体は保護される動物。
黒い体で寒い土地でも太陽光で体温を上げる動物。
表面積が大きなヘモグロビンをもつ赤血球で,空気の薄い土地でも生きられる動物。

それぞれの生物が,きれいなイラストと読みやすい文章でひと見開きにまとめられている。それぞれの生物が極限環境で生きられるしくみが,小中学生レベルの理科の知識で説明されて,面白い読み物。
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by h-asa78 | 2009-10-10 01:22 |



読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。
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