6畳の図書室

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『デジタル教科書のゆくえ』

『デジタル教科書のゆくえ』(西田宗千佳著;TAC出版)

デジタル教科書について,ジャーナリストの視点で取材したもの。
推進する団体,制作する業者,学校現場の様子など,さまざまな立場を取材。
デジタル教科書反対,という立場の取材はないのだが,全面的に反対という主張は稀と考えてよいのだろう。

まったく今まで聞いたことがない,考えたことがない話という感じはしないが,読み終えていくつか思ったことを。
・デジタル教材を使うことが特別なこと,になっているうちは普及しない。
・資料集や問題集,プリント,実物,実験など,これまで「教材」として使われていたものと並列的に位置付けられるようになる必要がある。
・教科書がデジタルデータになって便利,というだけでなく,デジタル教材を使うからできる教育を見つける必要がある。
・実験や実物に劣る画像や動画は,それなりに価値はあってもやはり補助的な扱い。
・キーワードは,共有,学習の履歴,個々の支援,学習者の参加,通信の利用
・iPadのような道具は,iPadを囲んで班で相談するなど,協同学習に活かせることも。このような身体性に関わる部分は,現場にいない人間の想像だけでは思いつきにくい。
・デジタル教材を使うのなら,その前提で指導要領を作り直すことを考える。ただ,具体的なことは「?」。
・学校現場では,子どもへの直接の教育以前に校務のIT化が重要。校務の負担が現場の時間を奪う。

これを読んでいても,学校へのデジタル教材の普及はまだまだ先のこと,という気がする。
今はまだ,試行錯誤の時期。逆に今,試行錯誤しておかなければ,波に乗り損ねる。
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by h-asa78 | 2012-01-02 00:02 |

『深紅』

『深紅』(野沢尚著;講談社)


知人に勧められて,しかも本を貸していただいたので,最優先で読んでみた。

大晦日に読み始め,除夜の鐘をついて,続きを読んだ。この本で年を越した。
非常に惹きつけられる本であった。

家族を殺された主人公と加害者の娘の出会い。
単純に主人公が加害者の娘に復讐するだけのお話しではなく,逆に温かい心の交流というわけでもない。
主人公の加害者の娘に対する感情の揺れが,「この2人はどうなってしまうのか」という気持ちにさせる。

解説にもある通り,五章構成の中で第一章・第二章のインパクトが強い。
第一章は,幼い主人公が家族の遺体に出会うまで。全体に漂う緊張感と一見無駄なような細かな描写。しかし,この細かな描写があとで意味をもつ。
第二章は全編通して,加害者の上申書。ここで事件の全体像が読者に提示される。
大人になった主人公が出てくるのは第三章から,加害者の娘が出てくるのは第四章になってやっと。
大胆な構成のようにも思うが,やはりこれがよいのだろう。
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by h-asa78 | 2012-01-01 23:33 |



読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。
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