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6畳の図書室

『脳ブームの迷信』

『脳ブームの迷信』(藤田一郎著;飛鳥新社)
先日,ニセ科学フォーラムというイベントで著者の講演を聞いた。
主に最近話題の「脳トレ」について,その科学的根拠の薄さを元になった論文をもとに批判していた。
わかりやすく面白い講演だった。
おもなポイントは2つ。
・「脳の活動を活性化⇒脳機能の向上」というのは,飛躍している。
・根拠にしている論文では,対照実験がちゃんとしていない。単純計算の繰り返しで高齢者のさまざまな能力が向上したように見えても,それは単純計算の影響なのか,実験者との交流の影響なのか,区別できない。
そして,主張している「脳科学者」自身,これらはわかっているはず・・・と。

本書はこれ以外にもう1つ。ギャバがストレス軽減に役立つという話への批判も。神経伝達物質を食べたからといって,脳に影響があるわけがない,という話。

「迷信」の批判だけではなく,脳科学が地道な研究の蓄積にもとづいているという話が書かれているのも,読み物として面白い。論争していた2つのグループが,標本を交換したり,スタッフをお互いのグループに送りこんで,研究をしたというエピソードは,非常に面白いと思ったのだが・・・薄い本なので,個々のエピソードがあっさり終わっているのが残念。
by h-asa78 | 2009-11-29 20:40 |
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読みっぱなしではなく,なんらかの記録を残そうと思いました。書評としてご覧ください。

by h-asa78